前回は「ECOなお家ってどんなお家?」というお話をしました。
本日はさらに高性能な省エネ住宅、ZEH住宅についてお話ししたいと思います。
経済産業省の【第6次エネルギー基本計画】では
”2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す”
と、発表されました。
また”2030年において新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す”とする政策目標を掲げています。
省エネ住宅【ZEH住宅】
「ZEH」ってよく聞く言葉ですが、その基準って・・・?
まずは「ZEHって何?」というお話から進めていきましょう。
ZEHとは?
ZEHとは、「ネットゼロエネルギー」の略。ひと言でいえば、使うエネルギーを省エネで減らし、さらに創エネルギーによってエネルギーの収支がゼロとなる住宅です。
ZEHのメリット
1.光熱費の削減
高断熱・省エネルギー機器により電力使用量を削減し、光熱費が節約できます。
2.快適な住環境
高断熱・高気密のお家を実現することで、少ないエネルギーでも暖冷房効率が良くなります。そのため、室内空気の乾燥や不快感を軽減し過ごしやすい住環境となります。
3.健康に良い
・ヒートショック
ヒートショックは急激な温度差により血圧が大きく変動することで起こります。お家の断熱性を高めることで、部屋間の温度差が少なくなりヒートショック現象の緩和につながります。
・アレルギーの抑制
室内に結露が発生すると、カビが発生しやすい環境となります。そのカビを食べるダニやダニの糞などの影響によってアレルギー発生の原因となります。
開口部の断熱性能を高めることで魔法瓶のように外気の温度の影響を受けない状態になり、室内側の結露が発生しにくくなります。そのためカビが生えにくくなり、アレルギーの抑制につながります。
・血圧や活動量に好影響
室温が年間を通じて安定している住宅では、居住者の血圧や身体活動量など健康への好影響が実証されています。
4.環境に優しい
消費エネルギーを抑え、太陽光エネルギーの電力を使用することで省CO2となります。ZEHにすることによるCO2年間削減量は約3.9tで、杉の木約280本が1年間に吸収するCO2量に相当します。
5.停電時にも電力が使用できる。
災害時に停電をした経験はありませんか?ZEHでは太陽光発電設備などの再生可能エネルギーを設置しているため、晴天の日中は停電時でも電力が使用可能です。
ZEH住宅の3本柱
ZEH住宅とは、
断熱・省エネ・創エネルギーを実現したお家
つまり、お家の断熱性能を上げる+消費エネルギーを減らす+エネルギーを創るということでエネルギーの収支がゼロになるということです。
さらに最近では、夜間でも再生エネルギーを活用できる「蓄電システム」や家庭内のエネルギーの使用状況などを確認できる「高度マネージメントシステム(HEMS)」、電気自動車(EV)への充電設備などの導入が進んでいます。電気自動車と連携すると家庭用蓄電池の代わりとして利用できるというメリットもありますね。
ZEHのデメリット
1.設備投資やメンテナンスに費用が掛かる
まず、一番心配に思われるのがこれですよね!太陽光発電システムや各種省エネ機器を設置する為には設備投資費用が掛かります。また、省エネ機器を長く使うためには、メンテナンスも必要になります。
→対策 国や地方自治体の補助金を利用する
ZEH住宅の推進を進めている国や自治体からの様々な支援制度があり、新築時やリフォーム時などで利用できるものもあります。
その場合、ZEHの種類によって受けることが出来る補助金が変わってきますので 募集の要件や時期などもあわせて検討してくださいね。
2.天候によって発電量が変化する
ZEH住宅は、「全く電力が必要ない」のではなく、「使った電力」を「創る電力」で補うという考え方です。
しかしながら、太陽光を利用した発電システムなので、天候の悪い日や日照時間の短い冬場は発電量が少なく常に安定した電力を得られない可能性があります。収支を考える上では、一年の収支で考える必要があります。
→対策 蓄電池を導入する
晴れた日に余った電力を蓄電しておくことで、日射の少ない日でもクリーンな電力を活用することが出来ます。
3.間取りや屋根のデザインが制約がある場合もある
太陽光パネルを効率の良い場所に設置する為に、屋根のデザインが思い通りにならない場合があるということも知っておいてくださいね。
ZEH基準とは?
1.外皮平均熱貫流率UAの基準は、平成28年基準よりも強化(地域ごとの基準値は後述)=一定以上の断熱性能があること。大阪府はUA値0.87以下であること
2.太陽光発電設備を導入すること=創エネルギー
3.太陽光発電設備を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上のエネルギーを削減すること
4.太陽光発電設備を加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上のエネルギーを削減すること
具体的な基準は上記の4つで、すべて適合させる必要があります。
簡単に言えば、前述のZEHの3本柱が満たされていること!
これがZEH基準です。
ZEHには都市部の狭小地や寒冷地で十分な発電量が得られない場合を考慮した「Nealy ZEH」や「ZEHoriented」などもありますので、地域的に「無理かも・・」と思われる場合はあきらめずに確認してみましょう。
また、令和3年4月1日以降に建築士に設計を委託したものを対象に省エネ性能評価・説明が義務づけられています。不安な場合は遠慮せずに確認しておくと良いですね。
まとめ
いかがでしたか?
ZEHでの生活は省エネ・創エネをしつつ、夏は涼しく冬は暖かい快適な空間を実現することが出来ます。
しかしながら、一番気になるのは「費用」ですよね。太陽光発電システムや省エネ設備機器の購入で初期投資は高くなりますが、ランニングコストが低くなるという点、快適な暮しと環境保全が叶うという点でも大きなメリットがあるように思えます。
では、smicleのお家の性能の数値はどうかというと・・・
- 断熱性能4
- UA値0.55 C値1.0~1.2
- 高性能ハイブリッド窓
- LOW-Eペアガラス窓
- 吹付断熱
これに太陽光発電システムを搭載すれば、ZEH住宅となります。
これから長い将来暮らしていくお家ですから、長い目で考えてコスト面も快適性も両方で納得のいくおうちづくりが出来れば理想ですね。
少しでもお役に立てれば嬉しいです。
*本文中の数値や目標数値に関して、2022年12月時点での数値となります。